認知症の人へ贈るプレゼント。何をあげたらいいか?と問われたら多くの人が悩む話題だと思います。これは、そんな誰もが悩む話題の一つの答えなのではないでしょうか。
目次
認知症を患っている祖母、Nana LillyさんへDanielさんがクリスマスプレゼントに選んだのは”赤ちゃんの人形”でした。
赤ちゃんをたて抱っこしてゲップをさせる動き、子供のいる方であれば皆わかると思うのですが、彼女は認知症になっても、その動きは忘れていませんでした。
今では、ほとんどの家族を忘れてしまったLillyさんですが、以前から人を愛で満たし、思いやりのある人だったといいます。赤ちゃんを抱くその姿から、そんな彼女の人柄が伝わってきますよね。
出典:youtube.com
Danielさんは認知症は「患者への暗闇と孤独」をもたらすと語ります。祖母の喜びを見たDanielさんとDanielさんのお母さんは共に涙を流したそうです。
出典:www.upi.com
ロンドンのアルツハイマーの協会で調査した結果、認知症の人の75%、また60%以上の認知症を介護する人が認知症と診断された人が孤立してしまうバックグラウンドがあると考えていて、認知症の人の40%は、自分たちが避けられていたり、孤立するような扱いを受けていると感じているそうです。
研究では、最愛の人に接した際には、記憶が消えるかもしれない間、慣れ、幸せ、快適さと安心感の感情などがしばらくの間残ると判断されたようです。
親や祖母に忘れられてしまうというのはとても悲しいことですが、認知症の人が最愛の人と過ごす時間には意味があり、良い影響を与えることができるため、足が重くても顔を合わせることは重要であるといえるでしょう。
ここで、樋口了一さんの「手紙 ~親愛なる子供たちへ~」という曲をご紹介したいと思います。
出典:youtube.com
この歌は、元の歌詞はポルトガル語で書かれており、樋口了一さんの友人、角智織さんの元に偶然届いたチェーンメールに詩が記載されていたといいます。
この曲を聞いて親の面倒を見る大変さが少し楽になったという人もいれば、そこまで介護は生易しいものではないと思う人もいらっしゃいました。
私の祖父も認知症になり、その過酷さは確かに介護をしなければわからないことが多いだろうな、と実感しました。そして、父の容態が悪くなり寝たきりになってしまった際も、大の大人を少し動かすだけでも本当に労力がかかる事なのだと実感しました。
全ての人がなる可能性のある認知症、まだ若い私たちも例外ではありません。そんな時、自分の子供たちへは何を伝えるべきなのでしょうか。
歌詞の一文にこのような詩があります。
あなたの人生の始まりに 私がしっかりと 付き添ったように
私の人生の終わりに 少しだけ付き添って欲しい
この歌は、認知症の親から子へのメッセージですが、親になったばかりの人が受け止めて、これから待つ親の老いを受け止めることと、今まで愛を持って育ててくれた親のように、子へ愛を注ぐべき人が共感できる歌ではないかと感じました。
忘れられる悲しみもあれば、忘れる悲しみもあります。愛する子を持つ今でならば、それを実感できるのかもしれません。
介護で苦労した方は、同じ苦労を子にかけまいとすると思います。でも、人生の最後の瞬間は、例え忘れてしまったとしても、自分との思い出を覚えていてほしい、わからなくとも触れてほしい、終わりには少しだけ付き添って欲しいと、最愛の人だからこそ思うのではないでしょうか。
生まれてくれてありがとう。
多くの親がこの気持ちを持つように、思い思われている事は大事にしなくてはならないのだと感じます。
多くの人が介護で消耗し、愛されていたこと、愛していたことを忘れてしまう現状が、今後少しでも良くなることを願います。