今の時代、スマートフォンは欠かせないコミュニケーションツールとなり、どこにいてもSNS、ゲームなどを楽しめるようになりました。とても便利なことではありますが、とあるシンガポールの家族の話が感慨深いものだったのでご紹介させて頂きたいと思います。
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夫はその近くに座り、スマートフォンでお気に入りのゲームアプリを始めます。すると、最後の一人が出した作文に差し掛かったところで、急に妻が涙を流しはじめたのです。
慌てて声をかける夫に妻はこう答えます。
「昨日、子供たちに宿題を出したの。”自分の願い”というお題で作文を書いてくることって・・・。それで、今最後の1つを読んでいたんだけど、これを読んだら泣かずにはいられないわ」
夫がその内容を尋ねると、妻は静かに作文を読み始めました。
ぼくの願いは、スマートフォンになることです。
なぜなら、ぼくのママとパパはスマートフォンがとても大好きだから。
ママとパパはスマートフォンばかりを気にして、ときどきぼくのことをわすれてしまいます。
ぼくのパパが仕事から疲れて帰ってきたとき、パパはぼくではなく、スマートフォンと時間を過ごします。
ママとパパが大事な仕事をしていてスマートフォンが鳴り出したら、1回鳴っただけでもすぐに電話に出ます。ぼくが泣いている時でさえ、そんな風にはしてくれないのに・・・
ママとパパはぼくとではなく、スマートフォンとゲームをして遊びます。
スマートフォンで誰かと話している時、ぼくが何か使えたいことがあっても、ぼくの話を聞いてくれません。
だから、ぼくの願いはスマートフォンになることです。
ハッとした夫は感情的になり、妻にこう尋ねました。「一体誰がこれを書いたんだ?」
「私たちの息子よ」
妻の答えは、夫が一番聞きたくないものでした。
シンガポールのスマートフォンの普及率は87~90%を誇り、世界の中でも突出しています。日本も平成26年の時点で、20代のスマホ所有率は94%、30代は82.2%と高い水準です。
始めて泣くわが子の姿を見た時、何も感じなかった人なんているのでしょうか。出産の辛さから、やっと終わった・・・と感想を持つ人も多いそうですが、その小さな、今にも壊れそうな手足をとり、ありがとうと呟いたあの頃。
出産が終わっても辛い日々が続きます。完全母乳の人であれば、いつ起こされるかわからない中、束の間の睡眠をとり、フラフラになりながらも慣れない育児をこなします。
そして次第に離乳食が始まり、日増しに大きくなるわが子。それでもお風呂の時は火がついたように泣き始めるし、せっかく作ったご飯も食べてくれない・・・自分は母親の資格がないのかもしれないと自問自答する日々。夫婦の仲も険悪に。誰が悪いわけでもない。本当はわかっているのです。
それでも、私たち親は、子供が始めて親を呼んだ日、その短い足をプルプルさせながら何かに掴まりながらでも自分の力で立った時、それに一喜一憂します。えらいね。がんばったね。今までの辛いことを忘れ、褒め称えるのです。
歩き始めるとあとはもう早いもので、無表情の必死な顔で走っては止まり、こちらを向いてキャッキャと笑います。公園、旅行、色々な思い出を作ろうとプランを練ったり、経験になることを探します。
それから、二人目が産まれたり、子供が幼稚園、保育園に入って、子供中心だったライフスタイルが少し形を変えるようになります。
忙しさからか、その頃までのことを鮮明に覚えていない方も多いかもしれません。しかし、それまでは子供の一挙一動に注意していたはずです。少し落ち着いて、時間がとれるようになった今はどうでしょう。
今日の毎日かあさん。涙ぐむ。私は合理的にちゃんとしたがる癖があって、娘3歳で今すでにこういうこと感じてて、でも掃除とかもしたくて、悩んだ末に早起きしてやってる。もっと娘と遊びたくて。でも確実にしんどい。どうすればいいのかな… pic.twitter.com/EWWvh3HJ2u
— tanikon (@tanikons) 2016年2月22日
Twitterで話題になっていた、西原理恵子さんが毎日新聞で連載されている「毎日かあさん」の思い出の夢という回の話。
非常に多くの共感が集まったこのお話。お母さん!お母さん!と何をするにも寄ってくる子供たちが、自分の子供と重なる人も・・・いつか子供が大きくなったその時に、胸を張って私がお母さんだと言えるようにしたいものですよね。
自分がもっと賢ければ子供も賢く育てられたのではないか?こんな育児ミスをしなかったのではないか?いつも子育ては後悔の連続です。でも、しっかりと子供に目線が向かっているのであれば完璧でいる必要はありません。少しくらいサボっても大丈夫。しっかりと子供を愛せる環境を作るのも親の仕事のはずです。
スマートフォンを見つめる視線を少し横にずらしてみてください。そこには誰かいますか?いるのであれば、それはスマートフォンに親をとられながらも大好きで離れることのできない子の姿です。
あなたの視線はどこを向いていますか?一緒に泣き、一緒に笑って成長できるのは今だけであることを忘れずに、日々を過ごすことができたらいいですね。